耐熱電線の許容電流表の見方について
【解説】耐熱電線の許容電流一覧表の見方
前回は「耐熱電線の選定方法」についてご紹介しましたが、今回はその選定に欠かせない「許容電流一覧表の見方」についてご説明いたします。
許容電流一覧表とは?
許容電流一覧表とは、電線に安全に流すことができる電流値を示した表です。
電気は環境温度が高くなるにつれ抵抗が増え、流れにくくなる性質があります。特に耐熱電線が使われるような過酷な環境では、配線される環境温度によって安全に流せる電気(電流値)は大きく変わってきます。そのため「使用環境の温度に応じて、どれくらい電流を流せるか」を確認することが非常に重要です。許容電流一覧表はそういった『実際

使用される環境温度に対して安全に流せる電気(電流値)が一覧表で見られる』ようになってます。この一覧表を使えば、サイズ選定も簡単にでき、電流値オーバーによるトラブルを未然に防ぐことができます。安全にご使用いただくためにも必要になりますので、是非ご参考にしてください。電線の種類によっても許容電流値が異なりますので、この一覧表を使う前に準備してほしいことをステップ①~④でご紹介させていただきます。
ステップ① 使用環境の温度を確認
まずは、電線を配線する周囲環境の最高温度を確認します。
例えばご使用される環境温度が最高で130℃以下の環境であれば、電線は180℃耐熱や200℃耐熱を選ぶのが安全です。
ステップ② 使用環境(耐水性・耐薬品性・耐屈曲性 他)と被覆材料の選定
ステップ①が確認できたら、次はどのような環境で使用するのかの確認をします。
・耐水性が必要な場合は、フッ素樹脂の類をオススメいたします。ガラス編組やシリグラス編組被覆は吸湿性があり、湿気・水気のある箇所での使用は漏電(スパーク)する恐れがあるためNGです。
・耐薬品性が必要な場合は、薬品の種類や濃度などの確認が必要となりますが、フッ素樹脂をオススメいたします。
・耐屈曲性が必要な場合は、【多芯ケーブル】FFタフラ(FK)をオススメいたします。
ステップ③ どのくらいの電気を流すのか(電流値 アンペア)
ステップ②まで確認ができましたら、次はどのくらい実際に電気をどのくらい流すのか(電流値 アンペア)を確認します。
ステップ④ 芯数・配線(予定)本数の状況
ステップ③まで確認ができましたら、次は芯数、配線(予定)の状況を確認します。
・単芯なのか多芯なのか
・配線する際に1本で配線するのか、複数本沿うように電力線が何本かあるのか
・電線を何本か束ねて配線するのか
気を付けなければいけないのは、多芯ものや本数を束ねて配線する際は、減少係数を掛けた数字が実際の許容電流値になるということです。実際の配線状況や芯数によっては、電線のサイズUPなども検討する必要があります。
例えば、2~3芯でご使用される場合「表の数字に×0.7」をした数字が許容電流値となります。
4芯の場合は「表の数字に×0.63」した数字が許容電流値となります。
ステップ①~④を確認いただければケーブルの選定を進めることができます。
許容電流一覧表の見方
福電の「耐熱電線カタログ」には、各電線種類ごとの許容電流一覧表が掲載されています。こちらの表は「サイズの選定」や「予定しているサイズで安全に使用できるかどうか」の目安として使用します。実際の許容電流一覧表を見ながら説明します。

まずは、品名の確認。品名に合った表をみましょう。上記の表はFEP樹脂関連製品の場合の許容電流一覧表となります。
次にご使用環境の温度の確認です。
例えばご使用環境の温度がMAX100℃であれば100℃の縦軸の数値をみましょう。

もしご使用サイズが決まっているようであれば、そのサイズの横軸と使用環境温度の縦軸が重なる数字が許容電流値となります。
例えば、ご使用環境がMAX100℃で2SQを検討される場合、許容電流値は44.4Aとなります。

ご使用予定の電線を束ねてご使用されたり多芯ケーブルの場合は、芯数電流減少係数を表の数字に掛けます。
例えば、ご使用環境がMAX100℃で4芯の2SQを検討される場合は、(44.4A)×0.63=約27.9Aとなります。
![]()
この約27.9AはMAXで流すことができる数字となりますので、それ以下でご使用されるのは望ましいです。MAXの許容電流でご使用される場合、この電線(FEP関連)は電線自体200℃近い温度となりますので、十分ご注意ください。余裕を持った選定を心がけましょう。
許容電流一覧表につきましては、弊社WEBより「耐熱電線カタログ」をダウンロードしていただき確認することができます。