熱電対/被覆熱電対
保護管型熱電対
保護管型熱電対とは
熱電対素線に絶縁管を取付け、金属保護管またはセラミック製保護管の中に挿入し、端子箱を取り付けた熱電対です。熱電対素線は、絶縁管でお互いに絶縁されているために短絡を防ぎ、また、絶縁管・保護管に収納されているために、機械的強度、化学的及び物理的特性に優れております。
 
								使用温度と特徴
金属保護管
| 材質 | 主な組成 | 常用温度(℃) | 最高使用温度(℃) | 特長 | 
|---|---|---|---|---|
| SUS304 | 18%Cr-8%Ni | 850 | 920 | 耐酸・耐熱性に優れているが、硫黄、還元性ガスに弱い。 | 
| SUS316 | 18%Cr-12%Ni- 2.5%Mo | 850 | 950 | 耐酸・耐熱・耐アルカリ性に優れている。SUS304より耐蝕性に優れている。 | 
| SUS310S | 25%Cr-20%Ni | 1000 | 1100 | 耐熱性に優れているが、高温での硫黄雰囲気下に弱い。 | 
| SUH446 (サンドビック P4) | 27%Cr | 1000 | 1100 | 耐熱・耐蝕性に優れ、硫黄・還元性ガスに強い。 | 
| INC600 (インコネル 600) | 72%Ni-15%Cr-8%Fe | 1000 | 1200 | 高温での酸化性、還元雰囲気下には強いが、硫黄雰囲気下には弱い。 | 
| チタン | 99.7%Ti | 酸化 :250 還元 :900 | 酸化 : 500 還元 :1000 | 塩素、硝酸、酢酸、塩酸等に優れた耐蝕性(低温)を有するが、高温下では酸化し脆くなる。 | 
*上記以外の材質につきましては、各営業窓口までお問い合わせください。
非金属保護管
| 材質 | 主な組成 | 常用温度(℃) | 最高使用温度(℃) | 特長 | 
|---|---|---|---|---|
| 特種(PTO) | 99.5%Al2O3 | 1600 | - | 耐熱・耐蝕性に優れ、硫黄・還元性ガスに強い。 | 
| 1種(PT1) | 55%Al2O3-41%SiO2 | 1500 | - | 気密性で耐熱性良好。急冷急熱に弱く、溶融金属・燃焼ガスに強い。 | 
| 2種(PT2) | 47%Al2O3-49%SiO2 | 1400 | - | ムライト質気密性で耐熱性に優れているが、急冷急熱に弱い。 | 
*上記以外の材質につきましては、各営業窓口までお問い合わせください。
型式説明
 
										M80型 
密閉端子箱付保護管型熱電対
											密閉端子箱を取り付けた最もポピュラーな形状です。
 
											 
										M90型 
密閉端子箱付ネジ込み式保護管型熱電対
											M80型の保護管部にニップルを取り付けネジ込み式にした形状です。
 
											 
										M100型 
密閉端子箱付フランジ式保護管型熱電対
											M80型の保護管部にフランジを取り付けた形状です。
 
											| 1型式 | 2熱電対の種類 | 3クラス | 4素線径(mm) | 5保護管の材質 | 
|---|---|---|---|---|
| M80 M90 M100 | B R K | Ⅰ(クラス1) Ⅱ(クラス2) | 0.5 0.65 1.0 1.6 3.2 その他 | S304 S316 N600 PT0 | 
| 6保護管の外径(φD1) | 7保護管の全長(L1)/挿入長(L2) | 8サポートの外径(φD2) | 9端子箱種類 | 10付属部品 | 
| 8 10 13 15 17 22 その他 | 任意の長さ(mmで指定) | 13.8 15 22 その他 ※サポート材質はSUS304が標準です。 | KM(密閉中型) KL(密閉大型) TS(開放小型) TL(開放大型) | ニップルサイズ フランジサイズ その他 | 
■取扱注意事項
1.保護管に関して
磁器製品は一般的に高温域において、急冷・急熱に弱いという欠点があり、高温の炉内等への挿入及び取り出しの際は、十分な除冷・除熱を必要と致しますのでご注意ください。また、材質の特性上脆いために、保護管が炉外等へ長時間出ていますと僅かな振動で破損する恐れがございます。取付位置が不適切な場合も同様に破損する恐れがありますのでご注意ください。
2.素線径に関して
熱電対はご使用になられます環境により、酸化・腐蝕等を起こします。素線の表面から品質の劣化が始まるために、素線径が太いほうが、細い物より長寿命で、より高温に耐えることができます。また、素線径が細ければ細い程、応答速度は速くなりますが、逆に機械的強度は弱くなりますので、用途にあわせてご選定ください。
3.挿入長に関して
測温接点は通常、保護管の中に入っているために、熱伝導により外部へ熱が逃げて行き、充分な挿入長がなければ温度誤差の原因となります。液体・気体の場合も様々な条件により差異はございますが、静止液体では保護管径の10倍以上、静止気体では保護管径の15~20倍を挿入長の目安としてください。なお、保護管の曲がりを防ぐために必要以上に炉内等に挿入しないようにご注意ください。